血圧の変動に関わるホルモンについて

さて時間がだいぶ空いてしまいました。

私の専門である内分泌(ホルモン)の観点から高血圧とその治療について書いてみようと思います。

血圧の維持に関わる主なホルモンとしては以下のようなものが挙げられます。

・自律神経系(交感神経/副交感神経):カテコラミン(アドレナリン, ノルアドレナリン)

・RAS(あるいはRAAS):レニン, アンジオテンシン, アルドステロン

・副腎皮質ステロイド:ACTH, コルチゾール

・抗利尿ホルモン:ADH(AVP, バソプレシン)

・ナトリウム利尿ペプチド(ANP, BNP, CNP)

血圧の調整に関わる主な因子は①血管②心臓③ナトリウム④水と考えるとわかりやすいかと思います。

専門的には①後負荷(動脈の硬さと毛細血管の収縮など)と②心筋収縮力・心拍数(心臓の頑張り具合)と前負荷(心臓に帰ってくる血液の量)を決める要素と考えられます。

心臓に血液が帰ってきて肺で酸素と二酸化炭素が交換された後に再び心臓から押し出される一連の流れをプレッシャーボリュームループと言いますがこれが血圧を規定しています。英語で申し訳ありませんがYouTubeを見ていただけるとイメージがわきやすいかもしれません。

塩分すなわちナトリウムが関わるのはナトリウムが増えると血液の中のナトリウム濃度が高くなりすぎないように水分を体の中に残すように働きかけられる為に循環血液量が増えることが原因と考えられています。

後負荷に関わるのがカテコラミン、アンギオテンシン

心筋収縮力・心拍数はカテコラミン

循環血液量に関わるのはADHとナトリウム利尿ペプチド

ナトリウムについてはACTH/コルチゾールとアルドステロン

とざっくり分けて考えられます。

血圧を下げる治療においては主に血管を拡張させる事がターゲットとなる他、ナトリウムを減らすことが挙げられます。

次回は各ホルモンの作用と各種降圧薬の解説を予定します。

 

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