甲状腺機能とQOLのお話

年末にHPを開設しましたがまだまだコンテンツ不足ということでブログなどで情報発信をしていければと考えております。

私は岡山大学病院で主に甲状腺の病気について外来診療をしてきたのですが、それと同時に学生さんや若い研修医向けに甲状腺疾患と甲状腺超音波検査の講義をしてきました。その際に使用してきた資料を利用して実は身近によくある甲状腺疾患について少しずつ紹介できたらと思います。

以下、今回の簡単なポイントです。

  • 甲状腺機能の異常は女性に多く見られます。
  • 自覚症状が疲れやストレスなどと紛らわしいこともあり発見にいたるまで時間がかかることも多くみられます。
  • 適切な治療で速やかに自覚症状の改善が得られます。
  • 甲状腺疾患は妊娠・出産にも影響があるため若い女性の人生設計にも大きく影響します。
  • 内分泌疾患の専門家による治療を受けることでなるべく影響を少なくすることが可能です。

甲状腺は鎖骨の少し上、喉仏の骨(甲状軟骨)の下にあるおよそ10-20 gの小さな臓器です。

その役割は主に体温を一定に保つことです。元気に活発に活動するのをサポートしてくれる臓器です。

体温が低下することをきっかけに視床下部(TRH)、下垂体(TSH)をへて甲状腺から甲状腺ホルモンが分泌されます。甲状腺ホルモンは結合するヨードの数によってT3とT4の二種類が血液中に存在します。T4は適宜ヨードが一つ取り去られることによりT3に変化して実際の生理作用を発揮します。(画像はBest Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism Volume 27, Issue 6, December 2013より改変)

甲状腺ホルモンの作用は基本的に体を活発にする為のホルモンなので、軽度の異常だと非常に気づきにくいこともあります。診断に到るまでに数ヶ月ぐらいかかることもしばしば。女性にありがちで日常で困りながらも我慢してしまっている症状が実は甲状腺の病気ということも。また、甲状腺中毒症も甲状腺機能低下症も不妊症や流産・早産のリスクと考えられています。

気になる症状があればお気軽に相談いただければ幸いです。

副院長 当真貴志雄

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