甲状腺機能異常と妊娠の関係

新年度に入り大学病院を退職して当真内科医院の業務に専念することになりました。地域の医療に貢献できるよう頑張ってまいります。よろしくお願い申し上げます。

大学病院の専門外来では不妊治療を受けられる患者様のご紹介がたくさん来られており甲状腺疾患が妊娠・出産というライフイベントに影響する内分泌内科医の腕の見せ所と考え取り組んでまいりました。

胎児の甲状腺はおよそ15週(妊娠初期)で完成します。胎児自身はそれまでは甲状腺ホルモンが作られないので母体の甲状腺ホルモンが胎児の発育、特に脳神経系の発達に重要と言われています。

妊娠初期には甲状腺ホルモン必要量が2-3割増えると言われています。

妊娠していない時期には健康に何の問題もない方でも妊娠初期には胎児にとっては甲状腺ホルモンが不足していてそれが流早産の原因の一つになると言われています。

TSHの上昇は甲状腺機能低下症の目安となり通常は0.3-4が正常範囲内と思っておけば概ね問題ないのですが妊娠初期に限ってはより安全にTSH <2.5を維持することが流早産の予防になると言われています。

内服していただくのはチラーヂンS®️(レボチロキシン:levothyroxine)はT4を合成して作られたものであり体内で作られる甲状腺ホルモンとまったく同じものと考えていただいて問題ありません。

基本的に副作用はありませんので一生内服しても全く問題はありません。その人の身体にとって必要な量の補充を行えるようサポートしてまいります。妊娠時に必要な補充量は通常の生活の時よりも少し多めになります。およそ1ヶ月おきに採血をしながら必要量の微調整を行なっています。

いわゆる妊活をされている患者様の甲状腺機能管理も積極的に行なっていく予定です。

その他、出産後に低下症だけではなくバセドウ病を発症するなど何らかの形で甲状腺機能異常になる方はおよそ20人に1人と言われています。経験上、子育ての疲れとかなり我慢されてから相談に来られる方も多いという印象があります。

何か気になる点や相談したいことがあれば気軽に頼っていただけると嬉しいです。

副院長 当真 貴志雄

 

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